回想法を行うには事前準備が大切

回想法は、認知症のケアとして用いられている心理療法です。会話の中で過去の話をすることで人生を振り返り、自信を取り戻す効果が期待できます。回想法は相手のプライベートな部分に触れるケースもあるために、事前準備を入念に行うことが重要です。

例えば、回想法の参加者の基本情報については、前もって聞いておくようにします。出身地や家族構成、年代に応じた生活環境などについて質問しておき、触れて欲しくない話題があれば無理に聞き出さないようにします。プライバシーに関わる話を聞いたときは、他のスタッフと情報を共有する前に話して良いか承諾を得ることも大切です。参加者の当日の記憶力や聴力、体調も把握しておき、状況に応じて参加させるかどうか決定しましょう。

過去の話を引き出すために、質問事項や道具の準備も必要です。質問は気軽に答えやすいものを用意すると良いでしょう。小さい頃の遊びや学校行事、住んでいた土地などの具体的な話が引き出せるものがおすすめです。子どもの頃から時系列順に進めていくと話しやすいでしょう。

道具は、昔の写真や音楽などが挙げられます。古い生活用品や子どもの頃のおもちゃも、思い出を引き出すのに役立ちます。その人が住んでいた土地の名産品を、お茶菓子に出すのも効果的です。注意したいのは、高齢者だからといって誰でも同じものに興味を持っているとは限らないことです。昔の音楽を流したとしても世代が違っていたり、嫌な思い出を持っていたりするケースもあります。一人ひとり異なる思い出に寄り添いながら、会話を深めていくことが求められます。